未成年者と成年被後見人の相続放棄
未成年者や成年被後見人が相続放棄をするには、法定代理人(未成年者の場合は親権者、成年被後見人の場合は成年後見人)が代理して家庭裁判所に申述する必要があります。
注意すべきは、法定代理人も同じく相続人であり、しかし法定代理人は相続放棄をしない」ケースです。
このケースでは、未成年者・成年被後見人には相続放棄させるのに、自らは相続しようとするわけなので、未成年者・成年被後見人が不利益になる恐れがあります。
これを利益相反行為と呼び、この場合は当該法定代理人は代理出来ず、家庭裁判所の選任した特別代理人が未成年者・成年被後見人の代理人となります。
なお、法定代理人も一緒に相続放棄する場合は利益相反行為ではないため、法定代理人自ら自分の相続放棄をしつつ、未成年者・成年被後見人を代理して相続放棄できます。
後見の場合は、すでに後見監督人が選任されている場合は、あらためて特別代理人を選任する必要はありません。
ところ、相続人が未成年者や成年被後見人である場合、相続放棄をするかどうかを熟慮する期間の起算点は、その法定代理人が未成年者や成年被後見人のために相続が開始することを知ったときからとされています。
なぜなら、起算点を未成年者もしくは成年被後見人が知ったときからにしてしまうと、その法定代理人の熟慮期間が短くなってしまうからです。
これに対し、相続人が被保佐人であれば、保佐人の同意を得て自ら相続放棄もしくは承認をすることができるので、熟慮期間の起算点も被保佐人自身が相続の開始を知ったときからとなるので注意が必要です。
この記事の監修者

- 司法書士・行政書士
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千葉司法書士会:登録番号第867号
認定司法書士:法務大臣認定第204047号
千葉県行政書士会:登録番号第02103195号
経歴:平成16年に個人事務所を開業。債務整理や裁判、登記業務を中心に20年以上の実務経験。解決実績は1万人以上。
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