出頭主義の廃止

不動産登記法の改正により、登記のやり方は大きく変わりました。

 

まず、第一に改正前は登記を申請するには直接、法務局に出向いて紙の申請書を申請箱に投函する必要がありましたが、改正後は以下の3つの方式が認められ、それまでの出頭主義は廃止されました。

 

1. 出頭による申請

 

2. 郵送による申請

 

3. オンラインによる申請

 

ここで、問題になるのが受付順位です。

 

それまでの出頭主義では、必ず法務局の申請箱に投函する方法によりおこなわれていたため、投函した順番通りに受付順位が付されていました。

 

しかし、改正後は郵送やオンラインによる申請も認められたため、これらの申請とこれまでの申請との間の順位付けをどうするのかが問題となります。

 

この点、オンライン申請では、コンピュータにより申請と同時に受付番号が付されることになるが、郵送や窓口での申請の場合は、従来どおり人の手によって処理される。

 

そのため、同一の不動産について2つ以上の申請がなされて、その先後が明らかでない場合はどうなるのか。

 

改正法では、そのような場合に備えて同時申請のみなし規定を設けました。

 

つまり、どちらの申請が先になされたか不明の場合は、同時に申請されたものとみなし、もし、その2つの申請が両立しえない場合(たとえばAがBとCの双方に同じ物件を売買した場合等)は、双方の申請が却下されることになります。

 

もし、同時に申請されたとみなされた申請が抵当権の設定であった場合、その2つの設定登記は同時になされたとみなされる結果、順位番号が同じものとなります。

 

次に、各申請方法のメリット・デメリットを挙げてみます。

 

1. 出頭による申請

 

<メリット>

・ 従来による方法のため安心・確実

 

<デメリット>

・ 直接、法務局に出向かなければいけないため高コストであり、時間的に拘束もされる

 

2. 郵送による申請

 

<メリット>

・ 直接、出向く必要がないため低コストであり、時間的拘束もない

 

<デメリット>

・ 配達ミスにより、最悪の場合届かない場合がある

 

・ 同時申請のみなし規定に該当する可能性が他の申請方法に比べて高い

 

3. オンラインによる申請

 

<メリット>

・ インフラ環境が整っている限りは低コストで申請できる

 

・ 申請と同時に受付がされるので順位保全に優れる

 

<デメリット>

・ 利用するまでの環境整備にお金がかかる

 

・ 通信状況が悪かったり、システムトラブルにより申請できない恐れがある

 

以上のようにそれぞれの申請方法にも長短あるので、申請する内容によって上手に使い分ける必要があります。

 

なお、オンライン申請をするための環境整備はかなり大変なので、現実的には一般の方がオンライン申請をするメリットはありません。

 

よって、現実的には司法書士等の専門家のみがオンライン申請の対象となります。

 

 

 

 

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