譲渡担保権と仮登記担保権

譲渡担保というのは、債務の担保として債務者等の財産を債権者に移転することです。

 

不動産の所有権を譲渡担保の対象にした場合、譲渡担保を登記原因として所有権移転登記をすることができますが、被担保債権を登記上、表示することはできません。

 

その結果、被担保債権について債務不履行があれば、債権者はその対象不動産を売却することで、債権の弁済に充てることができますし、対象不動産を完全に取得することで債権の保全をすることができるわけです。

 

なお、対象不動産の利用については、設定契約で決めておきますが通常は設定者に目的物の占有を続けさせ、その使用を認める旨の契約(使用貸借契約)が締結されていることが多いです。

 

この場合、対象不動産を利用するためには賃料を支払うことにしていることが多いですが、賃料とはいってもその実質は利息であると考えられるので、

 

譲渡担保権者が賃料の不払を理由として賃貸借契約を解除することは認められていません。

 

もし、譲渡担保後に当該譲渡担保契約自体が解除された場合、債権者は対象不動産の所有権を債務者等に返還しなければいけません。

 

その場合の方法としては

 

1. 譲渡担保による所有権移転登記を抹消する方法

 

2. 譲渡担保契約解除を登記原因として所有権移転登記を申請する方法

 

の2つが考えられます。

 

結論としては、どちらでもOKで、抹消による場合でも移転による場合でも登記原因は譲渡担保契約解除で変わりありません。

 

これに対し、譲渡担保により保全されていた債務が弁済された場合にも、債権者は不動産の所有権を債務者等に返還しなければいけません。

 

そして、この場合の手続きは債務弁済を登記原因とした所有権移転登記によらなければいけないとされています。

 

また、譲渡担保権が被担保債権と別個、独立に時効によって消滅することはありませんが、被担保債権が消滅時効にかかれば、設定者が時効の援用が可能で譲渡担保権も消滅します。

 

対象不動産が建物である場合、当該建物が滅失もしくは損傷すれば譲渡担保権もその限度で消滅しますが、被担保債権が消滅することはありません。

 

なお、譲渡担保の対外的効力ですが、登記原因が譲渡担保である場合は、設定者の一般債権者がこれを差し押さえることが可能です。

 

これに対して、登記原因が売買の場合には、差し押さえることはできません。

 

仮登記担保権というのは、金銭債権を担保するためのもので、その不履行があった場合に債務者もしくは第三者が所有する不動産の権利を債権者に移転する目的で代物弁済予約、停止条件付代物弁済契約等の契約で、これを仮登記したものをいいます。

 

仮登記担保権は、昭和53年の仮登記担保契約に関する法律によって立法化されました。

 

日本で、仮登記担保が多用されるようになったのは、昭和30年代の高度経済成長期です。

 

金銭債務を担保するには不動産に抵当権を設定する方法がありますが、抵当権だと滌除や短期賃貸借により、迅速な抵当権の実行が阻まれてしまうことが多々ありました。

 

この点、仮登記担保を利用すると、抵当権を実行することなく、代物弁済の予約上の権利を行使することで、対象不動産の所有権を取得することができます。

 

仮登記担保の対象となるのは、金銭債権に限られており、仮登記をすることが成立要件とされています。

 

仮登記担保の多くは、代物弁済の予約もしくは停止条件付代物弁済契約の形が取られていますが、売買予約の形が取られる場合もあります。

 

通常の代物弁済予約であれば、債務者の債務不履行があった場合に、債権者が債務者に対し、予約完結権を行使することで、不動産の所有権が債権者に移転し、その反面、債務は消滅します。

 

しかし、仮登記担保の場合、上記の行為に加えて、債権者は不動産の所有権が移転するとされている日以降に、契約の相手方に対し、清算金がある場合にはその見積額を通知しなければいけないとされています(もし、清算金がないのであれば、その旨を通知することになります。)。

 

そして、この通知が債務者に到達してから2ヶ月が経過しなければ、対象不動産の所有権は移転せず、2ヶ月が経過した時点で初めて所有権が移転します。

 

よって、仮登記担保が登記上明らかな場合に本登記を申請する際は、登記原因の日付が仮登記原因の日付から原則として、2ヶ月以上経過している必要があるわけです。

 

これに対して、登記上、仮登記担保が明らかでない場合(売買予約など)は、一般の仮登記として扱われることになります。

 

なお、設定者には受戻権というものが認められています。

 

これは、設定者が清算金の支払いを受けるまでは、債権者が消滅しなかったとすれば債務者が支払うべき債権等の額に相当する金銭を債権者に提供することで、不動産の所有権の受け戻しを請求することができます。

 

ただし、清算期間が経過した時から清算金の支払いを受けないまま5年以上が経過してしまうと、受戻権を行使することができなくなるので注意が必要です。

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