過払い金請求における遅延損害金の主張

貸金業者から取引履歴を取り寄せて、それを利息制限法で引き直し計算をする際には、原則としてすべて

 

「18%」

 

で引き直し計算します。

 

なお、借入金額が10万円未満であれば上限金利は20%で、逆に100万円以上であれば15%ですが、今回は10万円以上100万円未満であると仮定します。

 

ほとんどの貸金業者は、18%で一律に引き直しをしても特にその点については争ってきません。

 

しかし、業者の中には

 

「返済が途中で遅れた場合には18%ではなく、損害金の利率で計算するべきだ」

 

と主張してくるところもあります。

 

こういった損害金の主張については判断した最高裁判決は2つあります。

 

一つ目の最高裁判決は、平成21年9月11日判決です。

 

この判決では、

 

期限の利益を喪失した後にもしばしば遅れて支払うことがありながらも、

 

貸金業者が、残元本全額と遅延損害金の一括弁済を求めることもなく、約6年間にわたって弁済金を受領し続けたという事案において、

 

誤信を招くような貸金業者の対応のために、期限の利益を喪失していないものと信じて支払いを継続してきた借り手の信頼を裏切るものであり、

 

貸金業者による期限の利益喪失の主張は信義則に反し許されない。

 

と判断されました。

 

これは、つまり

 

「返済が遅れたのに、その後も長期間通常どおりの弁済を受けていたのに、あとから遅延損害金の請求をすることは許されない」

 

ということです。

 

もう一つの最高裁判決は、平成21年4月14日判決です。

 

この判決では、

 

領収書兼利用明細書に遅延損害金に充当した旨の記載があり、

 

期限の利益を喪失したことを前提とする記載がある書面を交付していた事案において、

 

同書面の記載内容とは異なる内容の請求をしていたなどの特段の事情がない限り、

 

期限の利益の宥恕ないしは期限の利益を再度付与したとは認められない。

 

と判断されました。

 

こちらの判決では

 

「返済のつど発行される領収書などに遅延損害金の記載があって、この内容と異なる請求をしていたことがなければ遅延損害金を請求できる」

 

とされました。

 

現実の裁判では、貸金業者側が単に遅延損害金の主張のみをして、それを裏付ける領収書などを提出してこなければ遅延損害金の主張が認められることはほとんどありません。

 

反面、遅れた返済金を遅延損害金に充当する旨の記載がされた領収書などが提出された場合は、業者の主張どおり遅延損害金の発生が認められることが多いです。

 

ただ、現実的には返済が遅れたといっても、数日程度の遅れであれば、発生する損害金もわずかですから、請求金額の総額自体はほとんど変わらないことが多いです。

 

そのため、損害金の主張をしてくる業者の本当の狙いは

 

「裁判の長期化」

 

にあるのではないかと思われます。

 

つまり、訴訟を長期させることで、原告(請求する側)から少しでも過払い金を減額してもらいたいというのが本音でしょう。

 

原告側としても、損害金を付けても総額がほとんど変わらないのであれば、わざわざ裁判期日を余分に重ねるまでもなく、相手業者の損害金の主張を認めてしまった方がいい場合もあります。

 

ただ、今のところ損害金の主張をしてくる業者の方が圧倒的に少ないのが現実です。

 

よって、損害金の主張をされたら、総額がどのくらい減少するのかを調べ、費用対効果も考えてどうするのか決めるのがよいと思います。

 

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