取引の分断
引き直し計算をする際に重要なポイントは
「取引の分断」
です。
ずっと、同じ基本契約で取引が継続していれば一連計算となります。
しかし、取引の途中で完済し、その後、一定期間利用がなく、再契約をしたうえで再借入れをしたような場合に、一連計算できるかどうかはケースバイケースです。
最高裁判決では、一連計算を判断する基準が示されました。
その項目は以下のとおりです。
1. 第1取引の期間の長さや第2取引までの空白期間の長さ
2. 契約書が返還されたかどうか
3. ATMカードが失効になったかどうか
4. 空白期間における接触状況
5. 第2取引が締結された経緯
6. 各契約における利率などの契約条件の違い
7. その他
以上を総合的に判断して、一連計算ができるかどうかを判断します。
しかし、現実の裁判実務では、およそ1年以上の空白期間があると一連計算が認められる可能性は低いといえます。
また、同じ状況でも裁判官によって判断が真っ二つにわかることもあり得ます。
よって、最終的にはやってみないとわからないというのが実情なので、仮に空白期間が短くても分断と判断される可能性はあります。
平成24年の最高裁判決では、空白期間がなくても、第2取引が不動産を担保に入れた証書貸し付けの場合に、一連計算が認められませんでした。
そのため、今後はこの最高裁判決が拡大解釈され、空白期間が短くても形式的に再契約をしているような場合は、取引の分断が認められてしまう可能性があります。
なお、司法書士や弁護士であれば、地元の裁判官の分断に関する考え方などはあらかじめ把握している場合が多いです。
そのため、どこの裁判所だと一連計算が認められやすいとか、あの裁判官だと分断になる可能性が高いということはある程度わかります。
もし、ご自身のケースがどうかを知りたい場合は、地元の司法書士などにご相談されることをおススメします。
この記事の監修者

- 司法書士・行政書士
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千葉司法書士会:登録番号第867号
認定司法書士:法務大臣認定第204047号
千葉県行政書士会:登録番号第02103195号
経歴:平成16年に個人事務所を開業。債務整理や裁判、登記業務を中心に20年以上の実務経験。解決実績は1万人以上。
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