定期借家制度

借地借家法では、正当事由がない限り、借家契約の期間が満了しても、家主は更新を拒絶することができません。

 

もし、これに反する特約が定められていても無効となります。

 

このおかげで、借りる側としては正当事由がない限り、契約の更新を拒絶されることはないので、安心して家を借りることができるわけです。

 

反面、家主からすれば、短期間だけ家を貸したいような場合に、正当事由がないと契約の更新を拒否できないとなると、家主としては家を貸すことに躊躇せざるを得ません。

 

なお、借地借家法においても、やむを得ない事情により家主が一定期間だけ建物を賃貸する場合には、契約の更新がないとすることができるという規定がありますが、

 

この場合の要件として、やむを得ない事情を記載した書面を記載しないといけないとの理由で、現実的にはあまり利用されませんでした。

 

そこで、平成11年に制定されたのが、良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法(以下「特措法」という)です。

 

特措法の最大の特徴は、正当事由がなくても期間の満了によって借家契約が終了するところです。

 

なお、確定的に借家契約が終了することから定期借家制度と呼ばれ、居住用に限らず、営業用の賃貸契約にも適用があります。

 

定期借家契約は、平成12年3月以降に新たに契約を締結する場合に限られており、居住用建物についてすでに締結されている借家契約を定期借家契約に切り替えることは、借主保護の観点から当分の間、認められないことになっています。

 

この定期借家制度を利用するためには、必ず公正証書等の書面を取り交わす必要があり、口頭の契約は認められていません。

 

また、大家は締結しようとする契約が定期借家契約であって、期間の満了によって確定的に終了することを書面で説明しなければいけません。

 

定期借家契約では、契約期間が1年以上であれば、大家は期間満了の1年間から6ヶ月前までに、期間の満了によって契約が終了する旨を借主に通知しなけばいけないことになっており、

 

もし、この通知をしなかった場合は、通知の日から6ヶ月間は契約の終了を借主に主張することができなくなるので注意が必要です。

 

これは、始めから契約期間が決められているとはいっても、家主に契約満了の予告をさせることで、借主がその間に新たな転居先を探す猶予を与えるためです。

 

以下に、定期借家契約の特徴をおさらいしておきますので参考にしてください。

 

1. 契約期間 ⇒ 一定の期間に限る

 

2. 契約時 ⇒ 必ず書面でする

 

3. 説明義務 ⇒ あらかじめ家主が書面により、一定期間の満了により契約が終了し、契約の更新がないことを説明しなければいけない

 

4. 告知 ⇒ 期間満了前の一定の期間内に契約が終了することを通知しなければならない

 

5. 更新 ⇒ なし

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