遺言の撤回
遺言は、いつでも撤回できます。
これは、遺言者の最終意思を尊重させるためです。
では、具体的にどうすれば撤回できるのかですが、遺言の撤回は原則的に遺言でおこなう必要があります。
方式は自由なので、公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回することもできます。
例えば、すでに作成した公正証書遺言を撤回するために、自筆証書遺言で「平成〇年〇月〇日に作成した公正証書遺言はすべて撤回する」等と記載してもOKです。
前の遺言と後の遺言が矛盾している場合、後の遺言の方が有効です。
また、当該遺言書を遺言者自身が破棄した場合も遺言を撤回したものとみなされますが、誤って破棄したり、不可抗力による場合は撤回とはみなされません。
なお、公正証書遺言の場合、手元の謄本を破棄しても原本が公証人役場に保存されているので、あくまでも原本自体を破棄しなければ撤回したものとはみなされません。
遺言書での撤回の他には、遺言者の行為で撤回することも可能です。
これは、どういうことかというと遺言を書いた後に、その内容と抵触する行為をおこなうと、その抵触する部分については遺言を取り消したものとみなされるというわけです。
たとえば、特定の不動産を相続させる旨の遺言を書いていたが、その後になって気が変わり、当該不動産を第三者に売却したような場合です。
もし、自筆証書遺言を撤回するのであれば、いちいち撤回する旨の遺言書を作成するよりは、従前の遺言書を破棄したうえで、もう一度、自分の意図する内容の遺言書を作成し直した方がよいと思います。
ところで、こんな判例があります。
終生扶養を受けることを前提とする養子縁組をして、その養子に対して、不動産を遺贈する遺言をした者が、後に協議離縁をした場合、その遺贈は取り消されたものとみなされる。(最判昭56・11・13)
これは、前の遺言と抵触する後の遺言がされたものではありませんが、やはり、遺言者の最終意思の尊重のための観点からの判例です。
この記事の監修者

- 司法書士・行政書士
-
千葉司法書士会:登録番号第867号
認定司法書士:法務大臣認定第204047号
千葉県行政書士会:登録番号第02103195号
経歴:平成16年に個人事務所を開業。債務整理や裁判、登記業務を中心に20年以上の実務経験。解決実績は1万人以上。
最新の投稿
- 2025年9月22日その他消費者志向自主宣言
- 2025年8月22日時効ジャックスのブラックリストをCICから削除したケースの解決事例
- 2025年6月10日時効りそなカードからSP ASSET POWERに譲渡されて弁護士から通知がきたケースの解決事例
- 2025年6月9日時効05018084005の楽天カードの滞納で債権回収会社からハガキが届いたケースの解決事例