登記識別情報と登記完了証

新年明けましておめでとうございます!

 

さて、今年一発目の記事は司法書士業務の中核である不動産登記です。

 

新不動産登記法によって、従来の登記済証は廃止され、新たに登記識別情報が作成されることになりましたが、具体的には英数字の組み合わせからなる12桁の暗証番号のようなものです。

 

この登記識別情報は不動産および登記名義人となった申請人ごとに作成されます。

 

よって、登記識別情報の通知の相手方は申請人が原則ですが、未成年者の親等の法定代理人であればその法定代理人に、申請人が法人の場合は法人の代表者に通知されます。

 

もし、申請書に記載された代表者の他にも代表者がいるのであれば、その代表者も通知を受けることができます。

 

これは、法人の代表者である以上、登記申請人として記載されていなくても受領する権限があるからですが、その場合は代表権を証する情報を提供しなければいけません。

 

また、司法書士等の特別の委任を受けた代理人も受領することが可能ですが、委任状に単に「登記申請に関する一切の件」と記載されているだけでは足りず、「上記登記申請に関する不動産について、登記識別情報を受領する権限を委任する」等と記載されている必要があります。

 

なお、登記識別情報が通知されるのは登記名義人となる申請人なので、登記名義人にならない者に対しては通知されませんし、登記名義人になる者であっても申請人にならなかった者には通知されません。

 

もし、所有権移転登記が抹消された場合、従前の登記名義人は新たに登記名義人になったわけではないので、新しい登記識別情報が通知されるわけではなく、従前の登記識別情報が失効しているわけでもないので、それを利用することになります。

 

債権者代位による登記における代位債権者についても、申請人ではありますが登記名義人になるわけではないので、登記識別情報は通知されません。

 

ところで、A⇒B⇒Cと連件で所有権移転登記がなされたような場合、登記完了時点ではすでにBは所有者ではありませんが、Bも自らが申請人となり、いったんは登記名義人となってことに変わりはないので通知されます。

 

登記識別情報は任意で通知を希望しない申出をすることも可能で、その場合は登記申請の際に希望しない旨を申請情報の内容にしておく必要があります。

 

つまり、原則として希望しない旨の申出を申請後にすることはできませんが、例外的に登記完了前であれば申請情報を補正する方法により、通知を希望しない申出をすることは可能です。

 

また、通知を希望するかどうかは不動産毎に選択することも可能なので、例えば複数の不動産の一括申請において、特定の不動産に付いてだけ希望しない申出もできます。

 

ただし、一度、希望しない申出をした以上、あとから再通知を要求することはできません。

 

よって、通知を希望するかどうかは登記申請前に慎重に検討する必要があります。

 

なお、希望しなかった場合には上記のとおり再通知をしてもらうことはできませんが、その場合は本人確認情報を作成して登記申請をしたり、事前通知制度を利用することで登記申請は可能です。

 

また、通知を希望して登記識別情報を受領した後に失効の申出をすることも可能です。

 

なぜなら、登記識別情報が第三者に盗み見される危険性があるような場合は、不正な登記を防止する必要があるからです。

 

失効の申出が可能になると、当該識別情報が現に効力を有しているかどうかは第三者からはわかりません。

 

そのため、当該登記識別情報が有効であるものかどうかを確認を法務局に請求することができます。

 

ところで、登記名義人も申請人にもならない登記では、登記識別情報が通知されないため、誠に登記手続きが完了したのかどうかが不安になります。

 

そういった場合に考慮して、登記が完了した場合には、登記完了証というものが交付されることになっています。

 

この登記完了証は、申請人が2人以上の場合でも、そのうちの1人に通知すればよいとされています。

 

また、登記識別情報のように交付しない申出は認められていません。

 

これに対して、再交付が認められないのは登記識別情報と同じです。

 

最後に、土地の合筆や建物の合体の登記された後に、当該不動産についてその所有者を登記義務者として登記申請する場合の登記識別情報は、合筆や合体登記の際に通知された登記識別情報であることを要し、合筆前のすべての不動産の登記識別情報ではダメとされているので注意が必要です。

 

このように、不動産登記では登記識別情報は非常に重要で、その存在の有無によって登記申請の形態が大きく変わってきます。

 

もし、登記識別情報を紛失等でなくしてしまったような場合は、一度、お近くの司法書士にご相談されることをおススメいたします。

 

当事務所でも千葉県近郊を中心に数多くの不動産登記を手掛けておりますので、お困りの際はお気軽にご相談頂ければと思います。

 

では、本年もよろしくお願い致します。

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