過払い金請求と非債弁済

数年前、ある業者が裁判で主張してきた争点に

 

「司法書士の代理権」

 

 

「非債弁済」

 

 

「権利の濫用又は信義則違反」

 

があります。

 

以下に、上記3点について、いずれもこの主張を認めなかった判決を紹介します。

 

 

(参考判決)

 

1. 司法書士の代理権

 

司法書士法3条1項6号のイによれば、認定司法書士は、民事訴訟法の規定による手続については、訴訟物の価格が裁判所法33条1項1号に定める価格(140万円を超えない価格)を超えないものについて代理することができると定められている。

 

本件訴訟は、訴訟物の価格が〇〇万〇〇〇〇円であること、原告代理人が認定番号〇〇〇〇〇〇号の認定司法書士であることは、本件記録中の訴状及び委任状によって認められる。

 

したがって、原告代理人は、本件訴訟に関し、有効な訴訟代理権を有するものと認められる。

 

被告が主張するところによれば、認定司法書士によって140万円を超えない価格の訴訟物として、適法に提起された訴訟での代理権が、

 

当該司法書士が当事者から訴訟外で新たな相談等を受けただけで継続中の訴訟の代理権を失う結果となり、訴訟の安定を著しく阻害する結果となるものであって、被告のこの点に関する主張は採用できない。

 

 

2. 非債弁済

 

被告は、最高裁判所の平成18年判決により、旧貸金業法43条1項による「みなし弁済」の可能性がほとんどなくなったことが公知の事実となったとして、その後の原告の弁済を非債弁済に該当すると主張するが、

 

通常、消費者である原告が相当期間継続した取引を具体的に把握していることはなく、貸金業者から取引履歴が開示されて(被告から原告に対し、

 

本件取引の履歴が開示されたのは平成23年11月22日付けである)はじめて払い過ぎた利息があるかどうかの有無の判断が可能となることを考慮すると、

 

特段の事情がない限り、最高裁判所の平成18年判決の言い渡し日の翌日である平成18年1月14日を基準日として、原告が原・被告間の金銭消費貸借上の債務がないことを認識していたとは考えられない。被告のこの点に関する第1次的主張は採用できない。

 

次に被告は、原告と取引があったと推認される武富士が会社更生法の申請をした平成22年9月7日以降の弁済取引について、原告の弁済は非債弁済となると主張するが、

 

前述のとおり本件においては未だ取引履歴の開示がなされてない時期であることを考慮すると、特段の事情がない限り、原告の被告への弁済が非債弁済となることはないと解される。被告のこの点に関する第2次的主張は採用できない。

 

更に被告は、原告が「払い過ぎの利息がないか引き直しを行うため」の取引履歴の開示請求に対し、被告が開示した平成23年11月22日以降の弁済取引について、非債弁済が成立すると主張するが、

 

①被告が開示した取引履歴である取引明細書では、利息に関して利息制限法所定の制限利率を超えた利率を前提とした計算をし、原告の平成23年10月27日の最終弁済によっても、なお、原告に〇〇万〇〇〇〇円の残債務が存在するとされていること、

 

②被告は、原告の弁済の都度、領収書兼ご利用明細書と同形式のものを発行していたと推認されるところ、同明細書には、お借入残高、次回ご返済額、次回ご返済日、毎月返済額などの欄があり、

 

原告の最終弁済についても①の残額があることを前提とした各記載があったものと推認できること、

 

③被告が開示した取引履歴は、利息制限法所定の制限利率を超えた利息を前提とした計算書であるため、原告はこれを利息制限法所定の制限利率に引き直し計算をしなければ不当利得金の有無が判断できないことなどの事情を総合考慮すると、

 

取引履歴の開示日を基準として原告の弁済が非債弁済となるとは認められない。被告のこの点に関する第3次的主張は採用できない。

 

 

3. 権利の濫用、信義則違反

 

通常、貸金業者においては、消費者である顧客が形式的に利息制限法所定の制限利率に引き直しをした結果をそのまま受け入れることはなく、様々な抗弁を主張することは当裁判所に顕著な事実である。

 

現に本件訴訟においても、被告は、本件取引の個数を争い、原告の弁済が非債弁済となるとし、あるいは権利の濫用、信義則違反となるとするなど原告の返還請求を拒む旨の主張をする。

 

したがって、原告が、本件取引において弁済をしないため、期限の利益の喪失による一括返済や遅延損害金の発生を防ぐため、取引履歴開示後も被告に対して弁済を継続したとしても、

 

最終的な被告の不当利得金に対する対応が明らかでない段階での弁済やそれを前提とした訴訟の提起が、原告による権利濫用である、あるいは信義則違反であるとは認められない。被告のこの点に関する主張は採用できない。

 

 

この判決のポイントは

 

 

「原告が取引履歴の開示をした後の弁済についても非債弁済とはならない」

 

 

と判断した点です。

 

ただ、この判決理由からすると

 

 

「あらかじめ引き直し計算がされた取引履歴が被告から開示されていれば」

 

 

それ以降の弁済が非債弁済になる可能性がありそうな気もします。

 

いずれにせよ、非債弁済が裁判で認められることはまずないと思って良さそうです。

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