過払い金訴訟の移送の申立と却下決定
不当利得返還訴訟の裁判所の管轄は
「借主の住所地」
を管轄する裁判所になります。
よって、自分の住んでいる場所を管轄する裁判所に提訴すればOKです。
必ずしも自分の住所地でなくてもよくて
「相手業者の本店所在地」
を管轄する裁判所にも提訴できます。
どちらの裁判所に提訴するかは借主である原告の自由です。
東京近郊の司法書士や弁護士の場合、複数の依頼者をまとめて、相手業者の本店所在地(主に東京簡裁や東京地裁)に提訴することは珍しくありません。
こういった共同訴訟をすることで、請求金額の低い依頼者の訴訟費用を節約することができます。
また、別々に提訴すると、それぞれが異なる裁判期日に分かれてしまいますが、共同訴訟にすることで同じ時間にまとめたりすることができます。
しかし、専門家に依頼せずに、自分で請求をされる方のほとんどは、自分の住所地の裁判所だと思われます。
ただ、自分の住所地の裁判所に提訴した場合、稀に相手業者が
「移送の申し立て」
をしてくる場合があります。
これは、審理する裁判所を被告である相手業者の本社がある裁判所に移送するべきだという申立てです。
しかし、上記のとおり、過払い金訴訟では、どちらの裁判所にも管轄がありますので、こういった移送の申し立てが認められることはまずありません。
少なくとも、当事務所の案件ではすべて却下されています。
では、なぜ、却下されるとわかっている移送の申し立てをしてくるかといえば、貸金業者の真の目的が
「時間稼ぎ」
にあるからです。
移送の申し立てがされると、予定されていた裁判期日が1回飛びますから、その意味で多少裁判の進行を遅らせることができます。
そのため、経営状態が悪い貸金業者ほど移送の申し立てをしてくる傾向があります。
この傾向は今後も続くものと思われますが、制度上許されているのでどうしようもないのが現実です。
この記事の監修者

- 司法書士・行政書士
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千葉司法書士会:登録番号第867号
認定司法書士:法務大臣認定第204047号
千葉県行政書士会:登録番号第02103195号
経歴:平成16年に個人事務所を開業。債務整理や裁判、登記業務を中心に20年以上の実務経験。解決実績は1万人以上。
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