遅延損害金とは?利率と計算方法、民法改正後の法定利率やリスクを解説

クレジットカードやローンの支払いが遅れてしまい、本来の支払額に加えていくら払う必要があるのか分からず、不安に感じている方もいるかもしれません。

この記事を読めば、遅延損害金とは何か、ご自身のケースで発生する金額の利率や計算方法を理解し、いつまでに、どのように対処すべきかを判断できるようになります。

2020年の民法改正で変更された法定利率についても解説します。

この記事でわかること

  • 遅延損害金の仕組みと自分でできる計算方法
  • 支払いを放置した場合に起こる深刻なリスク
  • 返済が困難になったときの具体的な対処法

遅延損害金とは?利息との明確な違いと発生条件

遅延損害金とは、借金の返済や代金の支払いなどを契約通りに行わなかった場合に、その損害を賠償するために支払う金銭のことです。

約束の期日を守らなかったことに対するペナルティ(違約金)の一種であり、通常の利息とは性質が異なります。

支払いが遅れた場合に、本来支払うべき元金や利息に加えて請求されるもので、いつから発生するかというと、支払期日の翌日からとなります。

遅延損害金は返済が遅れたことへの損害賠償金(ペナルティ)

遅延損害金の法的な性質は、債務不履行によって生じた損害を賠償するための金銭、すなわち「損害賠償金」です。

金銭の支払いが遅れると、債権者は本来そのお金を使えたはずの機会を失うなどの損害を被ります。

その損害を埋め合わせるという目的のため、遅延損害金が設定されています。

契約を守らなかったことに対するペナルティとしての意味合いが強いのが特徴です。

通常の利息とは目的も利率も異なる

通常の利息が、お金を借りた側がその利用の対価として支払うものであるのに対し、遅延損害金は返済が遅れたことへの損害賠償という目的で支払われます。

この目的の違いから、利率も大きく異なります。

一般的に、遅延損害金の利率は通常の利息の利率よりも高く設定されることがほとんどです。

これは、支払いを遅延させないように促すためのペナルティとしての意味合いも含まれているためです。

支払期日の翌日から一日単位で発生する

遅延損害金は、支払期日の翌日から発生します。

この発生初日を「起算日」と呼びます。

例えば、返済日が毎月25日の場合、25日中に支払いがなければ、その翌日である26日から1日単位で遅延損害金が加算され始めます。

延滞が解消されるまで、つまり元金と遅延損害金の全額を支払うまで、日割りで計算され続けるため、延滞日数が長くなるほど支払うべき金額は増えていきます。

遅延損害金の利率はいくら?契約内容や法律で定められた上限を解説

遅延損害金の利率は、まず当事者間の契約で定められた「約定利率」が適用されます。

もし契約で利率の定めがなければ、法律で定められた「法定利率」が用いられます。

ただし、契約で利率を定める場合でも、法律(利息制限法など)で上限が設けられており、それを超える金利を設定することはできません。

このように、遅延損害金の利率は契約内容と法律の両方によって決まります。

契約書で定められている「約定利率」が基本

遅延損害金の利率を調べるには、まずお金を借りた際の契約書を確認することが基本です。

契約書に「遅延損害金年〇%」といった記載があれば、その利率が適用されます。

この当事者間の合意(約定)によって定められた利率を「約定利率」と呼びます。

消費者金融やクレジットカードの契約では、ほとんどの場合、この約定利率が明記されているため、まずは契約内容の確認が必要です。

契約書に定めがない場合に適用される「法定利率」

契約書に遅延損害金に関する取り決めが一切ない場合や、個人間の貸し借りなどで利率を定めなかった場合には、民法で定められている「法定利率」が適用されます。

契約による定めが優先されるため、法定利率が適用されるケースは限定的です。

しかし、契約書を紛失した場合や、口約束での貸し借りなど、約定利率が不明確な場合には、この法定利率が基準となります。

【2020年4月施行】改正民法による法定利率は年3%

2020年4月1日に施行された改正民法により、法定利率は大きく見直されました。

それまでは年5%(商事法定利率は年6%)の固定でしたが、改正後は年3%に引き下げられました。

さらに、市中金利の動向に合わせて3年ごとに利率が見直される「変動制」が導入された点も大きな変更点です。

この改正は2020年4月1日以降に発生した債務に適用されます。

消費者金融やクレジットカードの上限利率は年20%

消費者金融からの借入れやクレジットカードのキャッシングにおける遅延損害金の利率は、利息制限法によって上限が定められています。

具体的には、元本額に応じた上限金利(年15%~20%)の1.46倍までとされていますが、利息制限法第4条但し書きにより、上限は年20%を超えることはできません。

多くの消費者金融やカード会社では、この上限である年20%に近い利率が設定されています。

個人間での貸し借りにおける上限利率

友人や知人など、個人間でお金の貸し借りをする場合も、法律上のルールが適用されます。

契約書で遅延損害金の利率を定めていなければ、民法改正後の法定利率である年3%が適用されます。

もし当事者間で利率を定めた場合でも、利息制限法の上限を超えることは認められません。

【自分でできる】遅延損害金の計算方法とシミュレーション

遅延損害金がいくらになるかは、簡単な計算式で算出できます。

実際に計算してみることで、現状を正確に把握し、今後の返済計画を立てるのに役立ちます。

以下に、具体的な計算方法と、金額や期間を変えたシミュレーションの例を紹介します。

ご自身の状況に当てはめて、おおよその金額を確認してみてください。

計算式は「元金 × 遅延損害金利率 ÷ 365日 × 延滞日数」

遅延損害金は、以下の計算方法で求められます。

「遅延損害金=借入残高(元金)×遅延損害金利率(年率)÷365日(または366日)×延滞日数」

ここでいう元金とは、まだ返済していない借金の残高全体を指します。

利率は契約書に記載された年率、延滞日数は支払期日の翌日から実際に支払う日までの日数です。

うるう年の場合の計算方法は、契約内容や状況によって異なる場合があります。

シミュレーション:50万円を年利20%で30日間延滞した場合の金額

例えば、借金の残高50万円を、遅延損害金の利率が年20%の契約で30日間延滞してしまった場合の計算例は以下の通りです。

500,000円×0.20÷365日×30日=8,219円

この場合、本来の返済額に加えて8,219円の遅延損害金を支払う必要があります。

過払い金請求と遅延損害金については「過払い金請求における遅延損害金の主張」で詳しく紹介しています。

シミュレーション:10万円を年利14.6%で60日間延滞した場合の金額

クレジットカードのショッピング利用料金10万円を、年14.6%の遅延損害金利率で60日間延滞した場合の計算例です。

100,000円×0.146÷365日×60日=2,400円

このケースでは、2,400円の遅延損害金が発生します。

延滞が長期化すると、この金額も次第に大きくなっていきます。

遅延損害金の支払いを放置した場合に起こる4つのリスク

遅延損害金が発生している状態で支払いをせずに放置してしまうと、単に支払額が増えるだけでなく、生活に深刻な影響を及ぼす様々なリスクが生じます。

初めは電話や郵便物による督促ですが、次第に法的な措置へと移行し、最終的には財産を失う事態にもなりかねません。

返済が難しい場合でも、問題を放置することは避けるべきです。

リスク1:督促状や電話による取り立てが始まる

支払期日を過ぎても入金が確認できない場合、まず債権者(カード会社や金融機関)から電話や郵便物(督促状)による支払いの請求が始まります。

初期段階では「お支払いを忘れていませんか」という確認程度の連絡ですが、延滞が続くと連絡の頻度が増え、書面の内容も厳しいものに変わっていきます。

この時点で誠実に対応することが、事態の悪化を防ぐ第一歩です。

債権回収会社からの督促については「きらぼし債権回収からの催告書」で詳しく紹介しています。

リスク2:信用情報機関に事故情報が登録される(ブラックリスト入り)

返済の延滞が61日以上または3ヶ月以上に及ぶと、その事実が信用情報機関に「事故情報」として登録されます。

これがいわゆる「ブラックリストに載る」状態です。

一度登録されると、延滞を解消してから約5年間は情報が残ります。

この期間中は、新たなクレジットカードの作成や、住宅ローン、自動車ローンなどの審査に通ることが極めて困難になります。

リスク3:「期限の利益」を失い借入残高の一括返済を求められる

延滞が長期化すると、債権者との契約に基づき「期限の利益」を喪失します。

期限の利益とは、借金を分割で返済できる権利のことです。

これを失うと、借金の残額全額について、利息や遅延損害金を含めて一括で返済するよう請求されます。

一括返済を求める「一括請求通知」が内容証明郵便で送られてくるのが一般的で、これを無視すると法的手続きに進みます。

リスク4:最終的に給与や預金などの財産が差し押さえられる

一括請求に応じられない場合、債権者は裁判所に訴訟や支払督促の申し立てを行います。

裁判所が債権者の主張を認めると、強制執行の法的手続きに移り、預金口座や給与、不動産などの財産が差し押さえられます。

特に給与の差し押さえは、手取り額の4分の1(手取りが44万円を超える場合は33万円を引いた額)が対象となり、勤務先にも知られてしまうため影響は甚大です。

遅延損害金が払えないときに取るべき3つの対処法

遅延損害金を含めた借金の返済が困難になった場合、問題を放置せず、すぐに行動を起こすことが重要です。

一人で抱え込まず、貸主や専門家、公的機関に相談することで、状況を改善できる可能性があります。

支払い能力がないからと諦める前に、まずは以下の対処法を検討し、借金を減らす方法を探ってみましょう。

債務整理も有効な選択肢の一つです。

対処法1:すぐに債権者(貸主)へ連絡して支払い意思を伝える

支払いが遅れると分かった時点で、あるいは遅れてしまったらすぐに、債権者に連絡することが最も重要です。

電話で「支払いが遅れる理由」と「いつまでに支払えるか」を誠実に伝えましょう。

支払いの意思があることを示すことで、債権者も相談に応じてくれる可能性が高まります。

返済計画の見直しや一時的な分割払いの交渉ができる場合もあり、督促の激化や法的手続きへの移行を防ぐことにつながります。

対処法2:弁護士や司法書士に債務整理を相談する

自力での返済が困難な場合や、複数の業者から借入れがある場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談し、債務整理を検討するのが有効な手段です。

債務整理には、裁判所を介さずに債権者と和解交渉を行う「任意整理」、裁判所に申し立てて借金を大幅に減額する「個人再生」、借金の支払いを免除してもらう「自己破産」などの方法があり、専門家が最適な手続きを提案してくれます。

任意整理については「任意整理のメリット・デメリット」で詳しく紹介しています。

対処法3:公的機関の相談窓口を活用する

弁護士への相談に抵抗がある、あるいは費用が心配な場合は、公的な相談窓口を利用する方法もあります。

日本司法支援センター(法テラス)では、収入などの条件を満たせば無料で法律相談が可能です。

その他、日本クレジットカウンセリング協会や全国銀行協会、地方自治体の相談窓口など、多重債務者向けに無料で相談に応じてくれる機関が多数存在します。

遅延損害金に関するよくある質問

ここでは、遅延損害金について多くの方が疑問に思う点や、よくある質問とその回答をまとめました。

ご自身の状況と照らし合わせながら、参考にしてください。

遅延損害金はいつから発生し、いつまで加算され続けますか?

遅延損害金は、定められた支払期日の翌日(起算日)から発生します。

そして、借金の元金とそれまでに発生した遅延損害金の全額を完済する日まで、1日単位で加算され続けます。

延滞している期間が長引くほど、支払うべき総額は増え続けることになります。

遅延損害金の時効は何年で成立しますか?

遅延損害金を含む債権の時効は、原則として5年で成立します。

これは、債権者が権利を行使できることを知った時から5年、または権利を行使できる時から10年のいずれか早い方です。

ただし、時効は自動的に成立するのではなく、「時効の援用」という意思表示が必要です。

また、裁判上の請求などがあると時効は中断(更新)されます。

アイフルの時効援用については「アイフルの借金は時効援用できる?」で詳しく紹介しています。

遅延損害金を減額したり、支払いを免除してもらったりすることは可能ですか?

原則として、契約で定められた遅延損害金を一方的に減額・免除することはできません。

しかし、弁護士に依頼して任意整理を行う場合、債権者との和解交渉の中で、将来発生する利息や経過分の遅延損害金をカットしてもらえる可能性があります。

支払いが困難な場合は、債務整理によって実質的に負担を減らすことを検討するのが現実的です。

まとめ

遅延損害金は、支払いが遅れたことに対する損害賠償金であり、支払期日の翌日から一日単位で加算されます。

利率は契約で定められた約定利率が基本ですが、法律による上限も存在します。

計算式は「元金×利率÷365日×延滞日数」で算出可能です。

支払いを放置すると、督促、信用情報への登録、最終的には財産の差し押さえといった深刻なリスクにつながります。

返済が困難な場合は、放置せずに速やかに債権者や弁護士などの専門家に相談し、適切な対処法を講じることが重要です。

この記事を執筆している司法書士

いなげ司法書士事務所 豊島裕也
いなげ司法書士事務所 豊島裕也司法書士・行政書士
千葉司法書士会:登録番号第867号
認定司法書士:法務大臣認定第204047号
千葉県行政書士会:登録番号第02103195号

経歴:平成16年に個人事務所を開業。債務整理や裁判、登記業務を中心に20年以上の実務経験。解決実績は1万人以上。

無料相談 受付中!

無料相談

受付時間:平日9時~18時
電話番号:043-203-8336