債務者とは?債権者との違いや借金・ローンが返済できない時のリスクと対処法をわかりやすく解説

「債務者」や「債権者」といった言葉の違いがわからなかったり、借金やローンの返済に不安を感じたりしていませんか。

この記事を読めば、「債務者」としての自分の立場を正しく理解し、返済が遅れた場合のリスクを把握した上で、弁護士への相談など具体的な解決策を検討できるようになります。

借金やローンの問題について、わかりやすく解説していきます。

この記事でわかること

  • 債務者と債権者の法的関係および責任に応じた種類の違い
  • 返済を滞納した際に直面するリスクと財産差し押さえまでの流れ
  • 借金問題を根本から解決するための法的な債務整理手続き
  • 多重債務やトラブルの悪化を防ぐために押さえるべき注意点

債務者とはどのような立場の人を指すのか?

債務者とは、特定の人(債権者)に対して、お金を支払ったり、物やサービスを提供したりといった、何らかの行為をする義務を負っている人のことです。

法律上の呼び方であり、お金の貸し借りにおいては、お金を借りた側が債務者となります。

これに対し、お金を貸した側は、お金の返済を要求する権利を持つ人です。

この関係性が債務者の最も基本的な特徴といえます。

債務者にはどのような種類があるのかについても、後ほど詳しく見ていきましょう。

お金を返す義務を負う人の定義

民法では、特定の相手方に対して一定の行為(給付)をする義務を負う人を「債務者」と定義しています。

この義務を「債務」と呼びます。

一方で、その義務の履行を請求する権利が「債権」であり、この権利を持つ人が債権者です。

つまり、債務者とは、債権者に対して契約などに基づいて発生した債務を履行する法的な義務を負っている人物を指します。

お金を貸した債権者との決定的な違い

債務者と債権者の違いは、義務を負う側か、権利を持つ側かという点にあります。

お金の貸し借りを例にすると、お金を借りて返済する「義務」を負うのが債務者です。

それに対して、貸したお金の返済を請求する「権利」を持つのが債権者となります。

このように、両者は一つの契約関係における表裏一体の立場ですが、その法的地位は正反対です。

債権者と債務者の関係については「債権者と債務者の違い」で詳しく紹介しています。

住宅ローンや賃貸借契約における具体例

債務者は、金銭の貸し借り以外にも発生します。

例えば住宅ローンでは、お金を借りて家を購入した人が債務者、融資した金融機関が債権者です。

また、不動産の賃貸借契約では、毎月家賃を支払う義務を負う借主が債務者となり、家賃を受け取る権利を持つ貸主(大家)が債権者にあたります。

このように、賃貸の契約においても債務者と債権者の関係は成立します。

売買契約では、代金を支払う義務を負う買主も、商品を引き渡す義務を負う売主も、それぞれが債務者となる場面があります。

法律上の債務者にはどのような分類があるのか?

法律上、債務者はその立場や責任の範囲によっていくつかの種類に分類されます。

単に債務者という場合、通常は契約の本人である「主債務者」を指しますが、それ以外にも複数の人が関わるケースで異なる呼び方が存在します。

それぞれの特徴を理解することで、ご自身の状況をより正確に把握できるでしょう。

返済を滞納するとどうなるのか、具体的な流れを次に解説します。

契約の当事者として支払い義務を負う主債務者

主債務者とは、金銭消費貸借契約などの当事者として、本来の支払い義務を直接負う人のことです。

例えば、銀行カードローンや消費者金融からのキャッシングを自身の名義で契約した個人がこれに該当します。

債務整理などを検討する際に、中心となるのがこの主債務者です。

基本的に、すべての返済責任はこの主債務者が負うことになります。

主債務者と同等の支払い義務を負う連帯債務者

連帯債務者とは、主債務者と連帯して、債務の全額に対して返済義務を負う人のことです。

債権者は主債務者だけでなく、連帯債務者に対しても返済の全額を請求できます。

連帯保証人と似ていますが、連帯債務者は自身も契約者の一人として扱われる点が特徴です。

例えば、夫婦で収入を合算して住宅ローンを組む場合などがこれにあたり、通常の保証人よりも重い責任を負います。

給与差し押さえなどで登場する第三債務者

第三債務者とは、債権者から見た場合、債務者に対してさらに債務を負っている第三者のことです。

少し複雑ですが、具体例として給与の差し押さえが挙げられます。

この場合、債務者に給与を支払う義務がある会社が第三債務者となります。

債権者は、この第三債務者である会社から直接給与の一部を取り立てることが可能です。

同様に、預金の差し押さえでは銀行が第三債務者にあたります。

返済を滞納した債務者にはどのような事態が起こるのか?

契約通りに返済ができない場合、債務者は法的な手続きに沿って段階的に厳しい状況に追い込まれます。

支払いが遅れると、単に元金と利息を払えばよいというわけにはいきません。

例えば、事業資金の借入で振り出した手形が不渡りになると、銀行取引停止処分を受けるなど、深刻な事態につながることもあります。

このような状況に陥った場合、どのような解決策があるのでしょうか。

年利に応じた遅延損害金の加算

返済期日を1日でも過ぎると、通常の利息とは別に「遅延損害金」が発生します。

これは返済が遅れたことに対するペナルティであり、契約で定められた利率(上限は年20%)で日割り計算され、借金総額に加算されていきます。

滞納期間が長引くほど、この遅延損害金は雪だるま式に膨らんでいくため、返済の負担がさらに重くなります。

書面や電話による催告の開始

返済が滞ると、数日のうちに債権者である銀行や消費者金融などの会社から、電話や書面による支払いの催告が始まります。

初期段階では、担当者からの「お支払いはまだでしょうか」といった穏やかな確認が主ですが、これを無視し続けると連絡の頻度が増え、内容も厳しいものへと変わっていくのが一般的です。

この段階で誠実に対応することが、事態の悪化を防ぐ第一歩となります。

一括返済を求める督促状の送付

催告を無視し、滞納が2〜3ヶ月続くと、内容証明郵便などで「督促状」や「催告書」が送付されます。

この書面には、契約違反により分割で返済する権利(期限の利益)を喪失したため、残りの債務全額を一括で返済するよう求める旨が記載されていることがほとんどです。

この段階に至っても、債権者に事情を説明し相談することで、分割払いや支払時期の調整に応じてもらえる場合があります。

裁判所を通じた財産の差し押さえ

一括返済の督促にも応じない場合、債権者は裁判所に支払督促の申し立てや貸金返還請求訴訟などを起こします。

裁判所から送達される書類も無視すると、債権者の主張が認められ、判決が確定します。

その後、債権者は強制執行の申し立てを行い、最終的には給与や預金、不動産といった財産が差押えられてしまうことになります。

こうなると、自身の意思とは関係なく財産が強制的に換価・回収されることになります。

強制執行の手続きについては「強制執行の仕組みと流れ」で詳しく紹介しています。

返済が難しくなった債務者はどのように解決すればよいのか?

借金やローンの返済が困難になった場合、問題を放置せず、できるだけ早期に行動を起こすことが重要です。

一人で抱え込まずに、借入先の金融機関や法律の専門家に相談することで、状況に応じた適切な解決策を見つけられます。

法的に認められた手続きも複数存在し、生活の再建を目指すことが可能です。

一方で、返済に苦しむ債務者が陥りがちな失敗もあります。

借入先の金融機関へ返済猶予を申し出る方法

返済が苦しくなった場合、まずは借入先の銀行などの金融機関に直接連絡し、返済計画の変更(リスケジュール)を相談する方法があります。

一時的な収入減などの事情を正直に話せば、月々の返済額の減額や一定期間の返済猶予に応じてもらえる可能性があります。

ただし、これは返済期間が延長されるだけで、借金の総額が減るわけではありません。

将来利息のカットを目指す任意整理

任意整理は、弁護士や司法書士などの専門家が代理人となり、裁判所を通さずに債権者と直接交渉する手続きです。

今後の返済にかかる利息をカットまたは減額してもらい、残った元本を3年〜5年程度の分割で返済していく和解を目指します。

裁判所を介さないため、手続きが比較的簡易で、特定の債務だけを対象にできる柔軟性があります。

借金を大幅に圧縮する個人再生

個人再生は、裁判所に申し立てを行い、借金を元本から大幅に減額してもらう手続きです。

減額された借金を原則3年で分割返済していくことになります。

住宅ローン特則という制度を利用すれば、住宅ローンが残っている持ち家などの不動産を手放すことなく、その他の借金を整理できる可能性があります。

すべての支払い義務の免除を目指す自己破産

自己破産は、裁判所に支払い不能であることを認めてもらい、税金や養育費などの一部の債務を除き、原則としてすべての借金の支払い義務を免除(免責)してもらう手続きです。

高価な財産は手放す必要がありますが、借金をゼロにして生活を再スタートできるという大きなメリットがあります。

どうしても返済の目処が立たない場合の最終的な法的手段が破産です。

アコムからの借入での自己破産については「アコム借金の自己破産条件」で詳しく紹介しています。

弁護士へ依頼して督促を止めるメリット

弁護士や司法書士に債務整理を依頼すると、弁護士は各債権者に対して「受任通知」という書面を送付します。

貸金業法では、この通知を受け取った貸金業者は、正当な理由なく債務者本人への直接の請求や督促をすることが禁じられています。

これにより、精神的な負担の大きい取り立てが一時的にストップし、落ち着いて今後の手続きを進めることが可能になります。

債務者が返済苦に陥った際のよくある失敗とは?

返済が苦しくなると、冷静な判断ができなくなりがちです。

しかし、焦りからくる誤った対処は、状況をさらに悪化させる危険性をはらんでいます。

特に、追い詰められた心理状態につけ込む悪質な手口や、安易な考えが招くトラブルには注意が必要です。

どのような行動が失敗につながりやすいのかを事前に知っておくことが大切です。

最後に、債務者に関してよくある質問にお答えします。

別の業者から借り入れを重ねてしまう失敗

返済のために別の消費者金融などから借金をする、いわゆる「自転車操業」は、多重債務に陥る典型的な失敗例です。

一時的に返済はできても、借入先が増えることで利息の負担がさらに重くなり、あっという間に借金総額が膨れ上がります。

根本的な解決にはならず、最終的にはどのローンも返済できなくなり、状況を悪化させるだけです。

債権回収会社からの連絡を放置してしまう失敗

「〇〇債権回収」といった身に覚えのない会社から突然連絡が来ると、詐欺を疑って無視してしまうケースがあります。

しかし、これは元の債権者から債権が正当に譲渡された結果かもしれません。

法務大臣の許可を得た債権回収会社からの連絡を放置すると、最終的に訴訟を起こされ、財産を差し押さえられるリスクがあります。

債権譲渡通知書への対応については「債権譲渡通知書の対応方法」で詳しく紹介しています。

家族や知人に無断で保証人を頼んでしまう失敗

借金の申し込みをする際に、追い詰められたあまり、家族や知人に無断で名前を借りて保証人にしてしまうケースは絶対に避けるべきです。

これは私文書偽造等の罪に問われる可能性がある犯罪行為です。

発覚すれば、信頼関係が完全に崩壊するだけでなく、保証人として名前を使われた人に多大な迷惑をかける最悪の結果を招きます。

債務者に関して多く寄せられる疑問とは?

ここでは、個人の債務者が抱えることが多い疑問や不安について、Q&A形式でわかりやすく解説します。

借金の問題は、本人だけでなく家族など周囲の人にも影響を及ぼすことがあるため、正しい知識を持っておくことが重要です。

債務者本人が死亡した場合は誰が支払うのか?

原則として、相続人が借金を含む財産を相続するため、支払い義務も引き継ぎます。

ただし、相続発生を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所で「相続放棄」の手続きをすれば、支払い義務を負う必要はありません。

誰が支払うかは相続の方法次第ですが、住宅ローンの場合は団体信用生命保険で完済されることが多く、この場合は返済義務が残りません。

家族が債務者になった場合に支払いの義務はあるのか?

本人の借金について、家族が連帯保証人などになっていない限り、法的な支払い義務はありません。

たとえ親子や夫婦であっても、借金の返済義務を負うことはないのです。

貸金業者が保証人ではない家族に返済を迫ることは法律で禁止されています。

安易に肩代わりせず、本人に債務整理を勧めることが大切です。

債務者の借金に時効が成立することはあるのか?

はい、借金にも時効はあります。

貸金業者からの借金は、原則として最後の返済から5年が経過すると時効期間が満了します。

ただし、自動的に返済義務がなくなるわけではなく、債務者自身が債権者に対して「時効を援用する」という意思表示をしなければ時効は成立しません。

時効期間中に裁判上の請求などがあると、時効はリセットされます。

時効の成否にかかわるNG行為については「債務承認と時効の関係」で詳しく紹介しています。

まとめ

債務者とは、債権者に対して金銭の返済など特定の義務を負う人のことを指します。

この関係性をわかりやすく理解しておくことが、借金やローンの問題を解決する第一歩です。

もし返済を滞納すると、遅延損害金の発生から始まり、最終的には財産の差し押さえに至るリスクがあります。

返済が困難になった場合は、一人で抱え込まずに、任意整理や自己破産といった法的な解決策を検討し、早期に弁護士などの専門家へ相談することが重要です。

この記事を執筆している司法書士

いなげ司法書士事務所 豊島裕也
いなげ司法書士事務所 豊島裕也司法書士・行政書士
千葉司法書士会:登録番号第867号
認定司法書士:法務大臣認定第204047号
千葉県行政書士会:登録番号第02103195号

経歴:平成16年に個人事務所を開業。債務整理や裁判、登記業務を中心に20年以上の実務経験。解決実績は1万人以上。

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