遺言の種類①
遺言の種類は、大きく分けると2つです。
1. 普通方式
2. 特別方式
特別方式とは、危篤で死にそうだったり、伝染病で隔離させられていたり、船や飛行機の中で死に直面しているような場合におこなう遺言です。
つまり、通常とは異なった状況に置かれている場合に行う遺言が特別方式です。
普通方式は、特別方式以外の場合です。
現実的には普通方式が圧倒的に多く、当職も10年以上実務経験がありますが、いまだかつて特別方式の遺言をみたことがありません。
よって、ここでは圧倒的多数の普通方式について書きたいと思います。
普通方式の遺言には
1. 自筆証書遺言
2. 公正証書遺言
3. 秘密証書遺言
の3つがあります。
一番多いのは自筆証書遺言で、イメージとしては自分で手書きした遺言を想像してみてください。
自筆証書遺言といっても、最低限のルールがあり、これを守らないで書いたものは無効になります。
反面、きちんとルールを守って書いてある限りは有効で、思い立ったらすぐにでも書けますし、費用も一切かかりませんから一番手軽な遺言といえます。
特に、遺産も多くなく、相続税対策も必要ないケースで、たとえば全財産を妻に相続させたいような場合、
「私の全財産を妻である〇〇〇〇に相続させる」
等と書いておけば、とりあえずは問題ないと思われます。
特に、子供がいない場合で、相続人が配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹になる場合には上記のような遺言を書いておいた方がよいでしょう。
なぜなら、兄弟姉妹には遺留分がありませんので、遺言で配偶者に全財産を相続させると書いておけば、その遺言によって不動産や預貯金等の名義変更が可能だからです。
もし、遺言を書いておかないと、配偶者の他に兄弟姉妹も相続人になるので、財産を全て配偶者のものにするには兄弟姉妹全員の同意が必要になってしまいます。
その意味でも遺言を書いておくことは、遺された配偶者のためにもなるわけです。