過払い請求における個別計算と一連計算

過払い請求では、貸金業者との取引が

 

「一連」

 

のものなのか、一連の取引ではなく、ある箇所で

 

「分断」

 

するのかが問題になることがあります。

 

たとえば、平成10年に契約を締結し、その後は継続的に借入れと返済を続け、平成13年に完済したとします。

 

そして、平成15年から再度、借り入れを始めた場合に、これらの取引を一連一体のものとして計算できるのか、それとも平成10年~13年までの取引と平成15年以降の取引は、それぞれ別取引として計算することになるのか。

 

この時の判断基準として、平成15年の再借入れに際して

 

「新たな基本契約を締結しているか」

 

が問題となります。

 

この点については、これまでの最高裁判決で以下のように決着しました。

 

1. 新たな基本契約を締結していない場合 ⇒ 一連計算

 

2. 新たな基本契約を締結している場合 ⇒ 原則的に個別計算

 

1.の場合には、同一の基本契約内で借入れと返済を繰り返している場合、途中で完済してその後、新たな借り入れをしても、基本契約が同じである以上、一連計算することになります(平成19年6月7日最高裁判決)。

 

反対に、2.の場合のように、再借入れの際に新たな基本契約が締結されている場合は、原則的に個別計算になりますが、事実上一個の連続した取引と認められる場合は、一連計算となります(平成20年1月18日最高裁判決)。

 

2.の最高裁判決には批判も多いのですが、裁判実務ではおおむね空白期間が1年を超えると分断が認められることが多いです。

 

しかし、最近では、ある大手信販会社が1.の場合のように同一の基本契約であっても、途中で数か月の空白期間があるとの理由で、取引の分断を主張してくるようになりました。

 

本来であれば、そういったケースでは、上記の平成19年最高裁判決により、空白期間がいくらあっても同一の基本契約内であれば一連計算となるはずです。

 

ところが、大手信販会社の中には平成19年最高裁判決を都合のよいように解釈し、同一の基本契約内であっても取引が分断されると主張しています。

 

現実問題として、こういった主張が認められる可能性は低いのですが、中にはこの大手信販会社の主張を認めてしまう裁判官もいるようです。

 

また、こういった主張をしてくる大手信販会社は、はじめから

 

「時間稼ぎ」

 

が目的です。

 

そのため、およそ認められる可能性が低い主張をあえてしてきて、もし、認められればもうけものという考えではないかと思われます。

 

このように、最近ではすでに解決済みの論点を、手を変え品を変え蒸し返してくる業者が増えてきています。

 

この傾向は、過払い請求が終わるまで続いていくものと思われます。

 

 

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